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使い方・楽しみ方

 ● スカイウォッチングを楽しむために用意するもの

星座早見盤

(1) 星座早見盤

 星空は季節や時刻によって見え方が違います。星空を見る前にどんな星座が見えるのかを、事前に星座早見盤で確認しておきましょう。星座の位置を確認したら、あらかじめ星座の形や星の配列をイメージしておきましょう。実際に星空を見上げた時、今までは無秩序に並んでいるだけに思えた星たちが、星座という形に浮かび上がって見えてきます。

(2)あなた自身の二つの目

 一番簡単な方法は自分の目で夜空を見ることです。星座、天の川など、大きな範囲を見ることができ、流星を見る場合には肉眼が一番です。

双眼鏡から見える月

(3)双眼鏡

 比較的明るい天体などを見るのに適しています。地球に接近した彗星等は、望遠鏡では倍率が大きくなりすぎ、全体像を把握できません。このような目的には双眼鏡が適しています。そのほかに、プレアデス(牡牛座)のような、明るく、比較的大きな星団、木星や土星、月などの惑星、衛星などを見るのにも双眼鏡は適しています。

(4)天体望遠鏡

 天体望遠鏡があれば、双眼鏡では、はっきりと見る事ができない惑星や月、星雲、星団などを、より大きく明るく美しい姿で観察することができます。木星の衛星や土星の輪なども見ることができます。

 ● 双眼鏡の選び方

 双眼鏡は天体望遠鏡と比べるとその手軽さが魅力です。思いのままに星空を散策できます。双眼鏡の選び方によっては天体観測だけでなく、一般の用途にも使用できます。ここでは天体観測に利用することを前提にして、その選び方を紹介しましょう。

双眼鏡の構造

(1)口径

 口径が大きいほど暗い天体が明るく見えます。天体観測を考えるなら、迷わず大きい口径のものを選びましょう。しかし口径が大きくなりすぎると、双眼鏡が重たくなるので取り扱いが難しくなり、双眼鏡の手軽さというメリットが薄れてしまいます。はじめての人の場合、口径30mmから50mm程度。本格的にやる人なら口径50mm以上は必要です。

(2)倍率

 必要な倍率は目的によって違ってきます。天体の位置を確認したり気軽に眺めたりするのが目的の場合は10倍くらいまでの低い倍率のものを選びます。
特定の天体をじっくり観測したいような場合は倍率は高めの方がよいでしょう。ただし倍率が15倍を超えるような場合は双眼鏡を固定するものがないと、手ブレのために視野全体が揺れて見えにくくなります。三脚などへ固定して観察しましょう。一般的には、普通に眺めるだけなら7倍から10倍、本格的に観測をするなら15倍以上は欲しいところです。

(3)重さ

 あまり重いものは観測時には三脚に固定する必要が出て来ます。男性と女性、年令によっても違いますので、手にしたときの感触などを含めて、実際に販売店や展示会等で、手で持って見てみることをお勧めします。

(4)価格

 予算をある程度決めて、専門店等で相談して購入してください。

 ● 天体望遠鏡の選び方

 天体望遠鏡で見る天体には独特の味わいがあります。惑星、星雲、星団、2重星、変光星と、観測対象も幅広くなります。天体観測の本当の楽しさを味わうには、やはり天体望遠鏡が欲しくなります。ここでは天体望遠鏡を購入したいがよくわからなくて.......という方のためにその選び方を紹介しておきます。

天体望遠鏡の各部名称

(1)天体望遠鏡の形式

 天体望遠鏡の種類は大きく分けると屈折式望遠鏡と反射式望遠鏡の2つがあります。それぞれに特徴があり、ベテランの人でも好みが分かれます。どちらも一長一短がありますので、お店の方に、よく相談し検討して決めてください。

(2)口径の大きさ

 口径が大きいほど暗い天体までハッキリ見えます。天体望遠鏡の性能のほとんどが口径の大きさで決まります。かといって口径が大きいとそれだけ重くなり、移動や取り扱いが大変になります。自分の体力や使用頻度も考えて選びましょう。

(3)ファインダー

 ファインダーに関して言うと、倍率はともかく口径が30mm以上は欲しいところです。これ以下では天体の導入時に暗い星が見えずに苦労することになります。しっかり選びましょう。

(4)接眼レンズ

 接眼レンズは、低倍率(30倍から60倍くらい)のものと、高倍率(120倍から150倍くらい)の2つがあれば、大丈夫です。どうしても他の倍率が必要なら、後から買い足してください。

(5)必ずお店でチェックしましょう

 天体望遠鏡は大事な道具です。それだけに専門店でじっくり選びたいものです。まずはカタログなどを取り寄せて研究してみてください。その上でお店に出向いて、次のチェックポイントを押さえれば失敗は減るはずです。

<まずは架台に注目!>

どうしても鏡筒の方に目がいきがちですが、ベテランの人はまず架台を見ます。架台がひ弱だと、ちょっと風が吹いたり、鏡筒に触れただけで像がユラユラと揺れて観測になりません。眼視観測だけでなく写真撮影まで考えている方はなおさらです。また、微動装置がスムーズに動くか動かないかもチェックしてください。架台が頑丈でガッチリし、搭載重量に余裕のあるものを選びましょう。

<次は三脚>

架台の次は三脚です。全ての重量が三脚にかかってくるわけですから、頑丈さを十分にチェックしてください。

<ファインダー>

昼間、遠くの景色をファインダーで見てみましょう。像が明るくハッキリと見えますか?昼間に見て遠くの景色がハッキリ見えないものは夜間の星空には使えません。先にも書いたように、口径が30mm以上あるかも確認しておきましょう。

<接眼レンズ>

セット販売商品では、通常、低倍率用と高倍率用の2本がセットになっていますので、当面はこれで使用し、もっと他の倍率のものが欲しくなったら改めて買い足すようにしましょう

<そして望遠鏡本体>

最後は遠くの景色を見て像の見え方をしっかり確認してみてください。

<付属品>

さまざまな付属品がありますがひとつだけ書くとすれば極軸望遠鏡でしょうか。赤道儀式の場合で、極軸望遠鏡が内蔵されていない場合があり、この時これを買い足すかどうか迷うことがあるかと思います。極軸望遠鏡があると正確に星を追尾できるので、買い足すメリットは十分にあると思いますが、予算的に厳しいとかどうしようか迷っているという場合は、そのまま使ってみて、どうしても必要なら買い足すというのも選択肢のひとつかと思います。

コラム3

都会の空にも星は瞬く。雨上がりが狙い目。

 都会では、星は見えないものと決めつけていませんか?実は東京の都心部でも、よく晴れた日には主な星座がたどれるくらいには星が見えるのです。
 まわりに灯りがない場所を探してください、明るいところから暗いところに入ると、はじめは真っ暗で何も見えませんが、時間が経つとまわりの様子が徐々に見えてくるようになります。暗闇に順応して瞳孔が徐々に開くのです。見える星の数も、少しずつ増えていきます。
 特におすすめなのが雨上がり。大気に浮かんでいたホコリが落ちてしまい、より澄んだ空が見えます。ちなみに東京や都市部でもっとも空が澄んでいるのは、台風一過のとき、お正月、お盆の時期です。こんな時期の雨上がりの夜空を一度じっくりと見上げることをおすすめします。

コラム4

方位磁石について。

方位磁石

 磁石は、方角がわかっている場所なら必要ありませんが、郊外などに出かけた場合は必需品です。方角がわからないと星座早見盤が使えないからです。
 使い方はこうです。方位磁石でまず北を確認してください。北を向いて立った場合、右手が東、左手が西になります。しかし、北を頭にして地面に仰向けに寝た場合は、左手が東、右手が西になります。
 方位が変わることはありませんが、星座を見ている体勢によって、左右が入れ替わります。方位を勘違いしないようにご注意下さい。(磁石がなくとも星座の配置で方角がわかるようになるというのが、スカイウォッチャーの第一ステップかも知れません。)

コラム5

星に自分の名前を付けるには。

星に命名

 新しい星を見つけて、自分の名前を残すにはどうしたらいいかをお教えしましょう。
 星の命名を承認する国際機関「国際天文学連合」には、命名に関する厳格なルールがあって、たとえ新しい星を見つけたとしても、名前が自動的につくわけではなく、星の種類によってその命名の方法が違っています。
 まず、いわゆる普通に光っている星「恒星」は、暗いものになるとそれこそ星の数ほどあるため、通常は新発見とは認められません。今までなかったところに突然新しい星が出現したように見えるのが「新星」や「超新星」ですが、これらは新発見と認定されても発見された年号などをもとにした符号で命名されるので、個人名がつけられることはありません。
 星と星の間を動いていく恒星状の天体(ほとんどが小惑星)の場合は発見の承認まで少し複雑な手続きが必要ですが、発見者に「命名権」が与えられます。しかしこの命名権は、発見者が発見者以外の人間の名前を推薦できるというもので、自分の名前をつけることはできません。
 結論から言えば、自分の名前が命名される唯一の天体は「彗星」だけで、最近では地球に大接近した「百武彗星」(鹿児島の百武さんが発見)、今世紀最大の大きさと騒がれた「ヘール・ボップ彗星」(アメリカのヘールさんとボップさんが発見)が有名です。
 いずれにしても星に正式に自分の名前をつけるのはたいへんなことのようです。