ホーム > 使い方・楽しみ方 > デジスコの世界 > 無限に広がる撮影対象

使い方・楽しみ方

B-1

入門用から究極までのシステムガイド

 まずは予算と目的に合わせてのシステム選びから。 (例は、カメラは光学3倍ズームレンズ付きデジタルコンパクトカメラを使用。デジタル一眼レフを使用する場合は交換レンズを取り外しスコープの接眼部にアダプターリングを使用します。)

デジタン

(1) お試しならこのシステム(デジタン)

 最初から大きな予算を組むのは怖い。まずは超望遠撮影を体験したいという方にはこんなシステム。コンパクトデジタルカメラに小さな単眼鏡を取り付けた「略称:デジタン」です。カメラを含めて10万円以内の予算で300mm~800mmの望遠撮影が楽しめます。得意技は30cmからの超接近(マクロ)撮影。野鳥だけでなく植物・昆虫など幅広い被写体に対応出来ます。とにかく超軽量(全体でも約1.5Kg)、超コンパクトで、最も安価な望遠システムです。

小型スコープ

(2) 機動性で選ぶならこちら

 あまり大きくなく、画質もそこそこの超望遠撮影が楽しみたい方には、小型スコープのこんなシステム。全体コスト15~20万円程度ですが、コンパクトデジタルカメラの場合、800mm~2400mmの焦点距離をカバーし、接眼レンズを高倍率なものに変えれば5000mm強の撮影も可能です。総重量が3Kg弱ですから、体力にあまり自信のない方や登山用としても格好です。

標準システム

(3) 標準的なデジスコシステム

 対物レンズ口径60~90mmの高級レンズスコープをベースとした組み合わせです。撮った写真を大きくプリントして部屋に飾ったり、インターネットにアップする画像の撮影など画質の良さは折り紙つき。一眼レフカメラとアダプターの組み合わせによっては、焦点距離1000mm~3000mm。コスト的には入門レベルであれば、デジタル一眼レフのシステムで約30万円程度で組めます。

究極システム

(4) 目指すはこの究極システム

 最高の機材で最高の作品を撮りたいならこの究極システム。優れた光学性能を持つスポッティングスコープをベースにデジスコシステムに特化した各種オリジナルパーツを組み合わせた究極のデジスコシステムです。光学系の色収差の少なさや歪曲収差の抑制、画像解像度の高さは感動的。最後はこのシステムを手にしたいと誰もがあこがれるシステムです。(3)同様、一眼レフカメラとアダプターの組み合わせによっては、焦点距離1000mm~3000mm。スペシャルパーツですからデジタル一眼レフ中級機と高級スコープの組合せで約50万円~60万円程度は必要です。

※焦点距離は全て35mm版換算
※機材アドバイス=(株)デジスコ・ドットコム  http://www.turboadapter.com/

B-2

さあ撮影。いきなりの遠出の前に。(デジスコチャレンジの順序)

 購入先で完璧に調整されたデジスコシステムであれ、入手してすぐの遠出は無謀というものです。まずは自宅の部屋から機材を外に向け練習。次の順序がいいと一般的には言われています。ここまでで慣れたら近くの公園や水辺に出かけるようにしましょう。焦りは禁物です。

近くの公園 看板

(1)最初は動かない被写体で

 例えば部屋が2階だとして窓の外に何が見えますか?スーパーマーケットの看板が見えたとするならその看板を写してみましょう。照準器の真ん中に看板が入ったら、スコープのピントを合わせ、シャッターを押します。(オートフォーカス機能が働く組み合わせであれば更に便利です)20m程先のスーパーの看板に蜘蛛がいるのまで写ったら大成功です。

(2)次は動きの少ない大きめの鳥を

 動かない看板の次は電線に止まっているカラスを狙ってみましょうか。餌を食べ終わり休憩中のカラスなら余り動きませんから同じ手順で撮影してみましょう。最終的なピントはあくまでも目に。5000mm相当の超望遠なら目の中に写りこむ周りの景色まで見えることがあります。鳥の目に映りこむ周りの景色。これぞデジスコです。

(3)ピントはいつも目にが原則

 野鳥や動物、昆虫など眼球を持った被写体を撮る場合は、ピントは目にが原則です。目にきちんとピントが来ていれば多少のブレや他の部分のボケはそれほど気にならないものです。

(4)構図の基本は前を空ける

 きちんと写ることが確認できたら、次は絵作りです。ご自分の部屋からだと逆光になったり背景がどうも気に入らないと思ったら、巡光でバックがすっきりとした部屋の窓から同じようにカラスや鳩を撮ってみましょう。構図の基本は野鳥なら向いている方向の前方に広く空間を空けることと、野鳥を中心から少しずらすことです。

前方に空間

○:前方に空間

前方が窮屈

×:前方が窮屈

B-3

被写体別デジスコ撮影ワンポイントアドバイス

○野鳥をデジスコ

 まずは身近な近くの公園から始めることです。人間の生活圏の近くにいる野鳥は人に慣れているということもあり、比較的撮影しやすいものです。公園デビューの次は身近な自然「川や干潟」へ。浅瀬でたくさんの野鳥に出会えます。

○動物園でデジスコ

 見慣れた動物たちもデジスコの手にかかればその表情や色彩など今まで気付かなかった映像に驚くこと請け合いです。超望遠のデジスコシステムなら金網越しの撮影になっても被写体が金網から離れていれば金網はボケて見えなくなりまったく問題ありません。

○植物園でデジスコ

 一番コンパクトで安価なデジスコ=デジタンを持って植物園に行けばそこも色彩と自然の営みの宝庫です。最短で30cmまで寄りが出来、しかも800mm相当程度の望遠撮影が可能ですから、小さな花の花弁のアップや水滴、昆虫もその表情までとらえることが可能です。

○お月さまにデジスコ

 天気の良い日の夜空に浮かぶ満月や三日月、高倍率のデジスコならば月の凸凹(クレーター)までもきれいに撮れます。(星座を撮るにはやはり天体専用のしっかりした望遠鏡が必要ですが。)

○20家族をデジスコ

 あかちゃんの笑窪、小さなこどもの可愛らしいしぐさ、撮られていることを意識させないデジスコなら、ファミリアルな写真もまったく別のニュアンスになるといいます。時にはぜひご家族をデジスコで。

コラム4

ソングポスト。

ソングポスト

 繁殖期を迎えた男子の鳥は、普段は隠れていてもその時期になると、つがいとなる女子を求めて見晴らしのいい(つまり女子に見つけてもらいやすい)場所にある枝に止まって歌います。目立つよう踊りながら、出来る限り大きな声で歌うといいます。そういう場所をロマンチックにも「ソングポスト」と呼びます。
 アップ写真「命」のマニアにとって、このソングポストは絶好のシャッターチャンスの場。一旦は飛び去ったとしてもオスはまたほとんど同じ枝に戻って来ることが多いので、その枝にピントを合わせておきじーっと待っているだけでまた撮影チャンスがやって来るそうです。
 ちなみに鳥が来そうな場所にあらかじめピントを合わせておくことを「オキピン」、野鳥が枝に止まる瞬間を撮った写真を「トマリモノ」、空中を飛んでいる写真は「トビモノ」と言うのだそうです。(但し動かない鳥を撮った写真を「オキモノ」とは言いません。)(笑)

コラム5

ピンがこない犯人のほとんどが機材ブレ。

ピント

 腰に手を当て「デジスコはピントが甘くて」などとのたまう方のほとんどが機材ぶれだと言う事を覚えておいてください。2000mm、3000mm、5000mmを超える超望遠撮影が当たり前のデジスコの世界では、機材全体が1mmずれただけで被写体側では10cm、20cmずれた写真になってしまいます。
 シャッターボタンに思わず力が入ってしまった。脇をダンプがびゅんびゅん通る橋の上で撮る。周りを人が歩き回る。へなへなの三脚や緩んだ雲台。機材全体が1mmブレる原因は無数にあります。
 デジスコシステムでピントがきっちり合っている写真を撮るのはいつも機材ブレとの戦いです。長い間デジスコで撮影している方は「息をするだけでブレそう…」ともおっしゃいます。

コラム6

ノンストレスが基本。

被写体にストレスを与えない

 デジスコを使った超望遠撮影は被写体にストレスを与えないということです。気持ちよく生きている鳥たちのテリトリーを侵さずそーっとその生活を写し取らせていただけるということだと思います。ずかずかと踏み込み巣穴をフラッシュでばしゃばしゃ撮るなどは論外も論外。その巣にはもう二度と鳥が戻ってくることはありません。
 被写体にストレスを与えない。あなたにもストレスがない。それがデジスコです。
 立ち入り禁止の場所に入り込まずに小さな植物をアップで撮れることも同じメリットです。どうかこれからはデジスコの超望遠の世界で、被写体にやさしく、自然にやさしく、そして出会った人々にやさしくを肝に銘じて楽しんでください。